2012年6月18日月曜日

コア7刑訴法ガイド 第1編 捜査 第1章 任意捜査と強制捜査


第1編                  捜査

 第1章     任意捜査と強制捜査


第1節               強制処分法定主義

● 「強制処分法定主義」の法文上の根拠と、その意義・趣旨について説明することができる。
コアカリキュラムの最初に理解すべき項目です。
当事者主義や実体的真実主義などが冒頭に説かれてきた従来の基本書と異なり、まずもって理解すべきがこの項目であるということがわかります。
そして、本項目の重要度は刑訴法でトップ3に入ります。捜査法においては第1位と言っても過言ではないでしょう。
したがって、ここで求められていることは確実に理解および暗記して下さい。量的にはそれほど膨大というわけではありません。ゆえに、他の受験生に負けるようなことは許されないと思って、「強制処分法定主義」の法文上の根拠と、その意義・趣旨について説明することができるようになって下さい。
ポイントは、197条但書の意味を理解するのと同時に、憲法31条をも射程にいれた理解をすることです。
ちなみに、従来の定義によると「任意処分」とは、憲法学における行政控除説と同じで、捜査上の処分から強制処分を控除した概念ですので、強制処分を理解することは任意処分の理解の前提になります。これは、強制処分の趣旨も踏まえて考えましょう。
● 「強制処分法定主義」と「令状主義」との関係・異同について説明することができる。
強制処分は、法律によらなければなしえないという意味で立法による制約です。
他方、令状発付判断権者が裁判官であることからわかるように、令状主義とは司法による制約です。
いずれも捜査活動に対する制約ですが、これらの違いを意識して本項目も十分に理解に努めましょう。

第2節               任意捜査と強制捜査の区別及びそれぞれの適法性の判断

第1款               任意捜査と強制捜査の区別

● 任意捜査と強制捜査との区別の基準について、判例の立場及び主要な考え方をふまえて説明することができる。
上述のとおり、任意処分は強制処分の理解が不可欠です。ですので、任意処分による捜査である任意捜査もまずもって強制処分の意味を理解しなければなりません。
この点については最決昭和51316日(昭和51年決定)の理解が最も重要です。
もっとも、学説における本決定の理解には若干その射程において争いがあります。
ここでは、一般的な理解として、多数説と本決定は整合性があると考えましょう。したがって、強制処分とは、相手の意思に反して、重要な権利・利益を制約する処分であるという多数説の理解は本決定と矛盾しないといえます。
この意味をコアカリ刑訴法で確認して下さい。
以上を前提に強制捜査の種類も確認しておきましょう。
● 有形力の行使を伴う捜査手段と、それを伴わない捜査手段(例えば、写真撮影)それぞれについて、上記の基準がどのように適用されるのかを説明することができる。
本項目も重要です。
ここでも強制処分の理解を前提としなければ正確な理解はできません。このことに注意しながら、強制捜査および任意捜査の位置づけ、これと写真撮影の関係を理解しましょう。
写真撮影の詳しい説明は後述になりますが、「写真撮影=任意処分」という画一的な理解は誤りですので注意して下さい。例えば、エックス線を使って撮影する場合、それは典型的な強制処分である「検証」になります。
強制処分の定義と照らし合わせて考えましょう。プライバシーは重要なものから制約が当然視されるものまであります。「プライバシー=(強制処分における)重要な利益」ではありません。犯罪が多発する公道におけるプライバシーの利益と、誰にも介入を許されないプライバシーの利益(例:トイレにいるときのプライバシー)は全く異なります。

第2款               強制捜査の適法性の判断

● 強制処分とされた捜査手段について、その適法性がどのように判断されるのかを説明することができる。
本項目も重要です。正確に理解および暗記に努めましょう。
ここでも昭和51年決定の理解を前提にします。コアカリ刑訴法で確認しましょう。

第3款               任意捜査の適法性の判断


● 任意処分とされた捜査手段について、その適法性判断の枠組みを、判例の立場をふまえて説明することができる。
本項目も前項目と同じく重要です。正確に理解および暗記に努めましょう。
ここでも昭和51年決定の理解を前提にします。昭和51年決定が何より指針になるということがこれまでのコアカリの項目で解りますね。
コアカリ刑訴法で、的確に二段階判断を理解して、そこでの規範および論じる順番を確認して下さい。これは必須事項です。
● 有形力の行使を伴う捜査手段と、それを伴わない捜査手段それぞれについて、具体的事案から事実を抽出したうえで、上記の判断枠組みに適用することができる
もちろん本項目も重要です。しかも、ここでは実際に論文対策に必要な理解が求められます。その意味で最重要といえます。
コアカリ刑訴法で本項目を確認すると同時に、論文作成における
     規範定立
     はてはめ
という基本も押さえましょう。これは論文対策としての基本です。

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