ご無沙汰しております。
この度,コア・カリキュラム刑事訴訟法の第3版,および,趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法の第2版の出版を記念して,コア・カリキュラム刑事訴訟法と趣旨規範ガイドブックの使い方について,説明しておこうと思います。
とは言うものの,「使い方」というのは,受験生の求めるものやレベルなどで異なってくるものです。
ここで説明する「使い方」というのは,オーソドックスなもので,かつ,試験直前期ということを踏まえて,まず押えるべきことを確認するという趣旨から,こういう使い方がおすすめですというものを説明しようとおもいます。
コア・カリキュラム刑事訴訟法[第3版]になって,さらに試験対策面で パワーアップしました。
本書の詳細については,以下でサンプルやはしがき,第3版での追加点を御覧ください。
https://www.dlmarket.jp/products/detail.php?product_id=446226
コア・カリキュラム刑事訴訟法は,司法試験および予備試験に完全対応するため,必要十分な情報を網羅しています。本書を利用すれば,別途,百選や基本書を使う必要はありません。
ただし,その反面として,百選等の参考書を不要とするほどの情報量のため,1400ページを超える大著となっています。これは,決して難解な情報が膨大にあるというわけではなく,わかりやすい説明や基本事項を深く理解するために基本事項について詳しく解説しているという理由によります。
したがって,コア・カリキュラム刑事訴訟法テキストを使用すれば,試験に必要な知識は十二分に得ることが可能です。
また,コア・カリキュラムの記載事項を参考に重要部分のみチェックできるように工夫しています。
もっとも,それでも試験対策,とりわけ論文対策のための知識や応用力を身につけたいという場合,本書を使いこなすのはやや難しいかもしれません。
そこで,これを可能にするのが,「趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法」です。
詳細については,以下を御覧ください。
https://www.dlmarket.jp/products/detail.php?product_id=446458
「ガイドブック」の名前のとおり,1400以上もある刑事訴訟法の世界を試験対策のための道筋をガイドしてくれるものです。そのため,本書は100ページ未満のコンパクトなサイズで,コア・カリキュラム刑事訴訟法の試験対策情報を要点よくまとめています。
ガイドブックという性質を有する趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法ですが,同時に,司法試験対策ツールとしての性質を併有しています。
まず,趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法は,司法試験対策ツールとして論証集という側面もあります。むしろ,この部分がメインといえるでしょう。
趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法は,コア・カリキュラム刑事訴訟法と同じ体系で,絶対に押えるべき論点およびその論証があります。しかも,時間との勝負の司法試験では長い論証は使えないどころか,使った結果当てはめが薄くなるというのでは本末転倒ですので,司法試験で使える実戦的な論証を掲載しています。特に重要なものについては,ショートバージョンとロングバージョンの2つ掲載しています。
一般的な論証集と異なり,現在の司法試験の論文においては出題される可能性が低いものは削除しつつも,重要なものについては直近の判例に関するものでも論証を追加しています。
また,重要論点については,論証だけではなく,重要な関連情報や当てはめに役立つ情報などのポイントも記載されています。これは,既存の論証のみをまとめた論証集とは異なります。
例えば,訴因変更の要否については,以下のようになっています。
上記のとおり,訴因変更の要否に関する論証は ,最決平成13年4月11日(刑集55巻3号127頁[百46])の立場です。そして,短縮バージョンも掲載しています。時間がない場合で最低限押えるべき部分ということなので,まずこの短縮バージョンを暗記することが必要です。
もっとも,この論証を暗記したところで,初学者は,過失犯の訴因変更について適切な解答を導くことは,まず無理でしょう。
そもそも,訴因変更の要否といっても,過失犯の訴因変更の場合,いったいどの訴因事実が審判対象に不可欠な事実なのかが必ずしも自明ではありません。そのため,過失犯における訴因記載事実の意味が3つあり,どの事実が訴因変更との関係でどう考えるべきかについて,ポイントのみ解説しています。
過失犯の訴因変更に関する論証をあえて記載していないのは,上記平成13年判例との関係で,具体的に過失犯における訴因変更として問題となる場面が様々あり,ただ論証を暗記しただけでは十分に試験問題に対応できないからです。そのような論証を暗記しただけで安心するおそれがあるとするのならば,それは むしろ「論証パターンの弊害」というものでしょう。
以上のような考えから,基本として押えるべき論点・論証と理解するための基本事項を適切に分類しています。
そして,本書がガイドブックとして機能するために,論点ごとにコア・カリキュラム刑事訴訟法の参照ページを記載しています。訴因変更の要否については,コア・カリキュラム刑事訴訟法565ページを参照すれば,詳しい考え方が以下のように確認できます。
また,過失犯の訴因変更については,平成13年判例における訴因変更の考え方をどのように適用していくのかということも,コア・カリキュラム刑事訴訟法で確認することができます。過失犯の訴因変更は,判例の事案との関係で,平成13年判例の位置付け等をチェックすることが重要です。
このように,コア・カリキュラム刑事訴訟法は詳細に解説しています。もっとも,これは理解を深めるためのものです。これで理解度が深くなれば,趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法の関連情報もより効率よく確認できるでしょう。
そこで,趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法とコア・カリキュラム刑事訴訟法の利用の仕方としては,以下のような方法があります。これは,初学者だけでなく,上級者でも穴をつぶすという意味では,おすすめです。
- まず,趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法の論証部分を暗記することが,重要です。理解するための暗記,暗記するための理解と,「暗記」と「理解」とは相互互恵関係にあるといえます。
- 次に,論証について理解できない部分があれば,コア・カリキュラム刑事訴訟法でチェック。ここまでで,コア・カリキュラム刑事訴訟法の重要部分をチェックしたことになります。
- なんでもいいので答案付の問題(過去問や演習書の問題)を解きましょう。演習を実際にして,わからない部分などをコア・カリキュラム刑事訴訟法で確認して,さらに穴をつぶします。趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法で基本論点の論証を暗記しているのであれば,初学者でもそれなりに書けるはずです。ここでは,同時に,答案の書き方をマスターするように努めましょう。
- 趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法を回して,関連情報について,記載内容だけでその概要を理解しているかをチェックして,論証部分も含めて全部を回しましょう。理解が進んでいればいるほど,すぐに回すことができます。
- 過去問をつぶしましょう。合格答案をチェックして自分の作成した答案を検討しましょう。理解が進んでいれば,合格答案のレベルはそれほど高いわけではないということに気がつくはずです。
このように,必ずしもコア・カリキュラム刑事訴訟法をすべて熟読する必要はありません。必要に応じて参照する使い方がおすすめです。特に,重要論点で理解が不十分な受験生は少なくありません。とりわけ,伝聞については,コア・カリキュラム刑事訴訟法で十分に理解を深めることがおすすめです。
また,強制処分や任意処分については,趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法で論証を暗記して,コア・カリキュラム刑事訴訟法で判例をチェックするなどの使い方もおすすめです。
趣旨規範ガイドブック刑事訴訟法は,コア・カリキュラム刑事訴訟法の「ガイドブック」としての性質とともに,必要不可欠な重要な基本事項をチェックできるという性質を有しているので,初学者にとっても有益です。
また,関連情報を基本論点との関連で押えることで,応用力も身につけることができますので,上級者にとっても有益です。
是非,この両書を使って,素早く基本をマスターしてください。
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